シソ科・花の咲いた先端、葉、茎・水蒸気蒸留法
組成
酢酸リナリル(35~45%)、リナロール(25~38%)、cis-β-オシメン(4~10%)、テルピネン-4-オール(2~6%)、ラバンデュロール、酢酸ラバンドゥリル、3-オクタノン、α-テルピネオール、リモネン&ジベンテン、β-フェランドレン、1,8-シネオールなど。
一般的作用
強心作用、血圧降下作用、健康回復作用、抗ウイルス作用、抗うつ作用、抗痙攣作用、抗神経障害作用、細胞成長促進作用、殺菌作用、殺真菌作用、消炎作用、消毒作用、胆汁分泌作用、鎮静作用、鎮痛作用、通経作用、デオドラント作用、発汗作用、分娩促進作用、癒傷作用、利尿作用など。
香り
一般、ウッディフローラルやフレッシュフローラルな香りといわれています。
ラベンダーはポピュラーな精油ですが、採取場所(標高も含めて)や採取時期はもちろんのこと、そのクオリティによってかなり香りが違うと感じます。
香りによって化学的組成も違ってきます。
安らぎの万能精油として有名ですが、私には臭くて落ち着かないと感じるものもあります。
どのような精油でも嫌悪を感じたら使ってはいけないという警告だと感じますが、ラベンダーに関してはラベンダーだから必ずしも苦手、ではなく、心地好いラベンダーもあるので合うラベンダーを探します。
精油の中で最も用途が広く、あらゆる点で バランス作用や調整作用、回復効果、長期使用での鎮静作用がありながら、毒性がない無難さからも常備薬のような位置でもあります。
希釈なしで直に使用することが可能です。
強心作用と鎮静作用があるため、高血圧や動悸に有益です。
消火器系には神経性の下痢や消化不良、吐き気に対して優れ、抗菌作用は傷や湿疹、虫さされにも働きかけます。
精神を浄化し、怒りを和らげて疲労困憊を回復させ、中枢神経系のバランスを取るそうです。
どちらかというと自身で自身は感情を抑える繊細なタイプだと決め込んでいる人には必要な精油だそうです。
塗布では、どのような肌質に於いても細胞の成長を促し、皮脂分泌のバランスを取ります。
火傷、日焼け、ニキビ、湿疹、虫刺され、おでき、潰瘍を治癒し、真菌の増殖を最小限に抑えます。
頭皮のよいヘアトニックになり、脱毛にも有益だそうです。
低血圧症の人で稀に感覚鈍化による眠気が生じます。
妊娠初期での使用は禁止。
毒性、刺激性、長期使用による感作なし。
言わずと知れた有名な精油。
いや・・・精油というよりは、トイレの芳香剤だとか室内芳香剤で、 老若男女問わず名が知れているから有名なのか?
ローマ時代に沐浴などでラベンダーのハーブを使っていたため、 語源がラテン語の「洗う(ラワーレ)」なだけに、 肌を清潔にします。
濯室を意味する「ランドリー」も同じ言葉から来ていると書いている本もありました。
原産は地中海地方。
19世紀ごろから香料の原料植物として、フランスのアルプス地方やイギリスを中心に、ヨーロッパで盛んに栽培されるようになったそうです。
近年では、 日本でも(北海道、福島県、群馬県、富士山麓) 栽培されています。
他、有名な作用としては、 血行、リンパの流れをよくします。
火傷に効く事で有名です。
このラベンダーの精油についても非常に複雑で、ここに書きたくないくらいウザいです。
ラテン語の植物の学名は、「属名+種小名+命名者で表される」という二命名法が基本ですが、精油は、 実際は何種類もあるLavandula属の種の違いを無視して、 十把ひとからげに呼ぶ慣用名になってしまっています。
南仏プロヴァンスでは、Lavandula vera、Lavandula stoechas、Lavandula spica(Lavamdula latifolia) 、また、Lavandula veraとLavandula spicaの交雑種である「ラバンジン」と呼ばれているLavandula hybridaの4種のラベンダーが生息しています。
Lavandula veraはLavandula officialisあるいはLavandula angustifoliaとも呼ばれ、野生のものと栽培されたものを区別するために、野生ラベンダーをLavandula vera、栽培されたものをLavandula officialis(angustifolia)と呼ぶ場合があります。
亜種・変種も含めれば、数何十種類ものラベンダー一族の頂点に君臨するのは、Lavandula veraです。
Lavandula veraには、 フラグランスfragransとデルフィネンシスdelphinensisの2つの変種があります)
vera(officialis,angustifolia)、stoechas、spica、hybridaが「種」、そしてそれぞれが同じLavandula属の植物であり、Lavandula属はシソ科の植物ということになります。
シソ科Lavandula属という同じ植物学的ファミリーの一員といっても、4種のラベンダーは生息圏も見かけも香りも異なります。
つまり、生物活性物質も異なります。
ラベンダーは標準で120kgの円錐花序から1kgの精油がとれます。
残念ながら、現在多くの栽培ラベンダーは クローン化(挿し木栽培)されており、 最も一般的なクローンはLavandula officialis(angustifolia) 'Maillette'といいます。
ブランドによっては、「栽培」ときちんと書かれている場合もあります。
たいていはどこも「ラベンダー(Lavandula officialis、Lavandula angustifolia)」という名でしか売られていませんが、 特に標高別のラベンダーを選びたい場合、ゼフィールやフィトサンアロームなどのブランドでは、分けて売られています。
今後機会があれば、どれも購入してみて、 香りの違いを比べてみたいです。
標高1000m以上の高地には ラベンダー・ハイアルトLavandula vera(officialis,angustifolia)が、その中でも南フランスの高い山岳地帯に自生するラベンダーを「ラベンダーエクストラ」と呼ぶところもあります。
標高の高いところに行くほど害虫が少なくなるので、 昆虫忌避作用のあるカンファー臭が弱くなります。
成分の組成は、鎮静効果を持つ香りの元となる、エステル類(リナリルアセテート、テルペニルアセテート、ラバンデュリルアセテート、ゲラニルアセテート)の割合が高くなり、全体の約52%を占めます。
つまり、ラベンダー・ハイアルトは、 通常のラベンダーよりも さらに一層穏やかで心地よい香りがします。
もう少し低い地域のラベンダーを「ラベンダーファイン」といいます。
しかし、だからといって、エクストラとファインでは、効果には大きな差はないそうです。
ヴィアロームやプリマライフでは、きちんと「ファイン」と書かれています。
標高700m~800mの地帯には、上からLavandula veraに、下からLavandula spicaにサンドイッチ状に挟まれて、 両者の交雑種である ラバンジンLavandula hybridaが生息。
これら3者から離れ、 海に面したケイ質土の丘陵にしばし密生して見られるのが、 異端児Lavandula stoechasです。
生育地名で分けられているブランドもあります。
「ラベンダーハイアルペン」はスイスの高地、「フレンチラベンダー」は南フランス、「イングリッシュラベンダー」はイギリスノーフォーク地方で栽培。
これまたヤヤこしい話しです。
スキンケアでは、通常は「真正ラベンダー」を使用すると思われますが、ラベンダーが「真正」以外に意味がないのではなく、それぞれの特性を持ち合わせています。
Lavandula spica
スパイクラベンダーLavandula spicaは、スパイシーな香りで「ラベンダー」とは思えない香りですが、 真正ラベンダーに多く含まれる エステル類の リナリルアセテートやラバンジュリルアセテート がほとんど含まれず、カンファーと1,8-シネオールが多く、殺菌作用と免疫能を高める作用があり、水虫などの皮膚真菌症には有効で捨て難いものです。
私には、カンファーをしっかり感じる きつい香りがしました。
2種類のケモタイプがありますが、フランス産よりスパニッシュの方が、遥かに高いレベルでケトン分を含んでいるので注意。
ゼフィール、ジュリーク、生活の木は全てフランス産です。
私は意外と好んで使用しています。
Lavandula stoechas
ストエカスラベンダーLavandula stoechasは、フレンチラベンダーとも称されます。
一般的にカンファー分を15~30%も持つため、癇癪様の痙攣が危惧されます。
また、粘液除去作用が強く、 慢性の呼吸疾患には有益で抗菌力も非常に優れていますが、何か専門的な効能を求める医療以外では、あまりアロマテラピーでは使用しないでしょう。
栽培が困難なので商業的に栽培されず、ある意味助かってます。
私の知る限りでは、プラナロム社とゼフィールで取り扱いがあります。
Lavandula×intemedia'Emeric'ex'Loiseler'ラバンジン
ラバンジンだって、「ラベンダーの偽者」ではなく、ちゃんと効能を持っています。
ラベンダーより鋭利な香りがすると感じます。
分類学上の等級は様々で混乱していますが、ラバンジンそのものの正式名称はLavandula×intemedia'Emeric'ex'Loiseler'なのだそうです。
(×は雑種である事、あるいは他家受粉という意味)。
ラバンジンにはたくさんのクローン(栽培変種)があります。
Lavandula hybrida Rev. clone grosso、
Lavandula hybrida Rev. clone abrialis、
Lavandula hybrida Rev. clone super、
Lavandula hybrida Rev. clone reidovanなど。
Lavandula burnatii super acetate
という「ラベンダースーパー」もラバンジンです。
優しく甘い香りがします。
私が知る限りでは、ゼフィール、フィトサンアローム、生活の木、サノフロール、シャーリープライスで取り扱いあり。
grossoのほとんどは工業用香料として蒸留されるので、 精油の品質が劣るため、したがってアロマテラピーに用いられることがないそうです。
superとabrialisは、
含まれる芳香分子とその特性から アロマテラピーに適した精油で、 真正ラベンダーの香りに近いのはsuperの方。
が、アロマテラピーでは、 精油の成分構成による真正ラベンダーとの差異が明確なabrialsの方が用いられる事が多いです。
どちらにも鎮静、抗炎症作用があります。
(abrialilsは、スパイクラベンダーLavandula spicaと真正ラベンダーとの交雑種)
そのabrialisのスキンケア面の効能は、皮膚のくすみをなくし、しみを小さくする、とされています。
私が知る限りでは、ゼフィール、ヴィアローム、生活の木で取り扱いあり。
reidovanは
主として抗菌、抗真菌、抗ウイルス剤として使用。
私が知る限りでは、プラナム社で取り扱いあり。
ラバンジンは70kgの円錐花序から1kgの精油がとれます。
私は自身は ラベンダーのリナリルアセテートによる鎮静効果がわからないのですが、(多分、香りが好きではないため)、もし鎮静効果が出たら困る場合もあるので、香り付けに使う場合、「朝使用にはラバンジン」「夜使用にラベンダー」と使い分けたりしています。
好きではなくても、どのような精油とも香りの相性が良いようで使いやすく、ブレンドによっては良い意味で香りが変化するようで、 私には決して邪魔ではありません。
また、希釈なしでトラブルに使えるので、旅行や出張には必ず持ち歩くようになりました。
実際、薮蚊に刺された時にしようした際、みるみる鎮静してしまい、指された事も忘れたほどで、この効果にはビックラしました。
現時点では、毒性、皮膚刺激、長期使用による感作の報告はなし、とあります。
ラベンダーは低血圧者に感覚鈍化作用みられる場合あり。
通経作用があるので妊娠初期から数ヶ月×。
ラバンジンの方は カンファー分が多い(一般的に5~15%)ので、多量で癇癪、痙攣危惧。
神経毒性の方は、多量でなければ心配はないと思います。
発熱時と妊娠中×。