ツゲ科・不乾性・高温加熱可
ホホバオイル/Simmondsia chinensis
主な栽培地域
イスラエル、メキシコ、カリフォルニア
採油
ナッツから常温絞り
酸価
<1.0
比重
0.863~0.865
色
精製は透明、未精製は黄金色
匂い
ごくニュートラル
過熱370℃くらいまで可とされる
性質
液体ワックス
品質保持期間
適用
適用
外用のみ(内服に於いてはワックスなので代謝されないのと、酵素の活動に変化が出る可能性にてNG)
光保護係数
約4
リノール酸-0.3% α-リノレン酸-0.2%
ミリスチン酸-0.2% パルミチン酸-11% ステアリン酸-71% アラキン酸-14% ベヘン酸-1%
オクタデカノール-1% エイコサノール-44% ドコサノール-45% テトラコサノール-9%
ビタミンA、カロチノイド
ホホバの小さな低木は、不毛な灼熱の砂漠での過酷な環境条件に抗う優れたサバイバーで、年間、20mlの雨しか必要としないそうです。
青緑色の葉は、水分の消失を抑えるために厚い表皮をしています。
実(ナッツ)は全くオイルを含みませんが、その重さの約50~60%のワックスを含有します。
この化学構造は通常のオイルとは全く異なり、脂肪酸とグリセリンのエステル(トリアシルグリセロール)ではなく、長鎖の不飽和脂肪酸(平均C20の長さの鎖)と長鎖の脂肪族アルコール(平均C21の長さの鎖)のエステルから成ります。
冷蔵庫に入れると固化し、常温に戻すと液体になりますが、これを繰り返しても性質に変化はなく、劣化はしません。
何年間も酸化しない特性を持ちます。
分類はワックス(ろう)でありながら、比較的軽い感触で、皮膚深部への浸透が早く、表面にギラつくのとは違うシルクのような光沢が出ます。
水分油分のバランスを整えるこのワックスは酸性であり、酸性保護膜と呼ばれ、抵抗力を養い、特に乾燥や刺激を強く緩和して、ケア効果の持続性にも優れます。
ビタミンEを含有するため、皮膚の結合組織が強くなります。
また、ワックスはヒト皮脂にも含まれている成分ゆえ、皮膚をナチュラルに保ち、過剰な皮脂の蓄積と増加の抑制力もあるそうです。
ホホバオイルの角質層への透過ははっきりと証明されており、精製ホホバオイル(クリアー)は、特に皮膚浸透がよく、邪気がない点で敏感肌の人にお奨めです。
未精製ホホバオイル(ゴールデン)は精製よりはほんの少し粘度があり、養分を堪能できます。
私はその都度、使い分けますが、精油とのブレンドオイルのベースがフラットであって欲しい時には、精製を使います。
ただ、精油をブレンドした場合は、その強力な浸透度により、精油のデリバリー力が増加する気がするので、過敏な肌対象ではなく、逆に攻撃的でドラスティックな効果を楽しめます(その逆を言えばリスクあり)。
他と最も違う特性は、ケン化価がすごく低いので、ホホバオイルの比重を高くした場合、苛性ソーダの量をかなり少なくできる点です。
よって、ホホバオイルの比重が高い石鹸は非常にマイルドになります。
石鹸にしてしまうには貴重なオイルですが、オイル全体の7~10%の配合でもきちんと影響してくれると感じます。
和らぎのある、肌へのストレスフリーな石鹸になります。
意外にもアレルギー反応と接触性皮膚炎の報告があります。
過敏な方はパッチテストをしましょう。