トウダイグサ科
キャスターオイル/Ricinus communis
Ricinusは種子の様相が似ていることからラテン名でダニを表す。
communisの意味はは「ありふれた」。和名は「ひまし油」
主な栽培地域
東アフリカ、インド、ロシア、ブラジル、中国、地中海沿岸
採油
ヒマの種子から低温圧搾
融点
-10~13℃
比重
=0.940
色
淡黄色
匂い
個人的に使用しているキャスターオイルは特に無し
適用
外用、内服(どちらも一般的ではない)
リシノール酸-87~89% オレイン酸-6.0~7.0% リノール酸-3.5%
パルミチン酸-2.0% ステアリン酸-1.0% ヒドロキシステアリン酸-微量
最たる特徴は、含有する90%以上のリシノール酸により、大変に粘度が高い点です。
ネタ~っとした蜂蜜のような粘度です。
このオイルは、菌増殖抑制作用があり、バクテリアも殺菌します。
アーユルヴェーダの治療では、腰痛や胸膜痛、座骨神経痛、リュウマチなどに効果があるとされていたようですが、大変に強い粘性が使いにくいので、アロマテラピーでは一般的には使われません。
歯茎、頭皮、爪のケアにも使うようですが、仮に他の植物オイルと混ぜても、浸透感がなく、使いにくいとは思います。
最近ではパックに使用したりのスキンケア使用が流行っている様子ですが、そもそもは肌内部の水分を引き出して保湿してくれるグリセリンに近い働きがあり、皮膚にバリアー機能を持たせる皮脂の役割を果たしてくれるそうです。
化粧品には水素添加されたキャスターオイルが利用されており、ネイルやリムーバー、口紅、あるいはスキンケア品などにも使われています。
硬化処理をしたキャスターオイル(ターキレッドオイル)は水溶性になり、お湯にオイルが分散する乳化剤としてバスオイルに使えます。
ただし、ターキーレッドオイルはキャスター由来でありながら、化学的には全く別物で、独特の香りがあり、目にしみます。
金属との親和性もあり、ブレーキの潤滑など、様々な分野で利用されているオイルでもあります。
内服では今は使われていないと思いますが、便通をよくする潤滑性の通痢剤として利用されていました。
私自身は石鹸を作るようになって初めてキャスターオイルを使いました。
配合することで石鹸をマイルドにしてくれることを知り、いろいろな配合量で試作してみたのが使用の始まりです。
キャスターオイルを配合した石鹸は、非常に滑らかで持ちのよい泡が立ちます。
ただし、水分を引き付ける性質があるだけに、配合を多くすると、溶け崩れの激しい石鹸になりました。
もともとケン化率を低くした手作り石鹸は溶け崩れやすいところ、ますます溶け崩れやすくなることは決してよいとは思えないので、私はほんの少量の割合で配合していますが、充分に効果を発揮してくれていると思います。
好きな感触の泡が発現する石鹸を作るためには、なくてはならないオイルとなっています。
ヒマの種には猛毒であるアルブミノイドリシンが含まれており、もちろん通常はこの毒成分を含まずに抽出しているのでキャスターオイルの中には存在しませんが、しかるべきところで購入しましょう。
また、日本薬局方のキャスターオイルは有機原料ではなく、低温圧搾でもない品です。
(日本薬局方では、独特の匂いを隠すため?か、1%のハッカ油とオレンジ油を加えた加香ヒマシ油も販売しています。)
現在では多分に内服する機会はないと思いますが、大量の経口摂取は、吐き気や激しい下痢を起こす可能性があります。
牧草地にはよい肥料になりますが、家畜に与えると死に至るそうです。